営業職として活躍するIさん。入社のきっかけから、女性営業としてのキャリア、そして日々のやりがいまで、実際の現場視点で語っていただきました。「新卒だからこそ、今しかできない挑戦」をモットーに、未経験から営業の世界へ飛び込んだ彼女。その成長の足跡は、これから社会人になる方にも多くのヒントを与えてくれるはずです。
「今しかできない」からこそ踏み込んだ営業職の世界
大学生だった頃、私は当初、小売店など、消費者と直接向き合う接客業を念頭において就職活動を進めていました。というのも、学生時代は100円ショップなどでアルバイトをしており、人と直接やり取りする接客が好きだったんです。自然と「小売店での販売職」に興味が傾いていたんですね。
ところが、就活時に参加したインターンシップでコゲツ産業に出会い、考え方が少しずつ変わっていきました。コゲツ産業はメーカーから商品を仕入れ、小売店へ卸す食品商社であり、いわばBtoBの営業が主軸です。それまでは「消費者=個人のお客様」を直接相手にするイメージしか持っていなかったので、「企業相手の営業」という新しい視点がとても新鮮でした。
なぜ営業職へ方向転換したのか? その背景には、「今しかできない経験」という考えがありました。もし将来、何らかの理由で仕事を辞めたとしても、接客や販売はパートでも挑戦できます。でも、本格的なBtoB営業は新卒だからこそ得られる貴重な機会だと感じました。若手のうちに新しい営業スキルを身につけておけば、将来どんなキャリアを選んでも、きっと武器になるはず。そう思い、思い切って食品卸の営業職へ踏み込んだんです。
未知の世界に飛び込む不安と期待
――食品卸という世界は、就活中にはあまり馴染みがないかもしれません。未知への不安はありませんでしたか?
正直、食品卸という業態は、テレビやドラマで見るようなイメージもなく、具体的な仕事の中身をほとんど知りませんでした。でも、逆に言えば「思い込み」がなかったんです。「こんなはずじゃなかった」というギャップに悩まされることがなく、むしろ新鮮な気持ちで入社できました。
もちろん、最初は分からないことだらけでした。しかし、コゲツ産業では入社後に約1年間の研修制度が整っていて、先輩や上司も「分からないのが当たり前」と受け止めてくれる雰囲気があります。私が入社した時の同期や1つ上の先輩たちも、ほとんどが同じように「食品卸の世界は初めて」だったので、みんなでゼロから学んでいく感覚がありました。
入社前によくある「これを覚えておかなきゃ」「あれを準備しておかなきゃ」というプレッシャーも特になく、「4月1日に来てくれれば大丈夫だから」といったスタンス。そのおかげで入社前の不安はまりなかったですね。
「後からしっかり教えるから安心して」という会社側の姿勢はとても心強く、スタートラインはみんな同じなので、頑張れば必ず成長できると感じました。

1年目は研修と基礎固め~流通の全体像を掴む
コゲツ産業は食品卸として、メーカーと小売業者の間に立つ仕事です。そのため、単に商談スキルを磨くだけでなく、物流センターや現場配送の仕組みなど、商品の流れ全体を理解する必要があります。
1年目はまず、流通に関わるあらゆる部署を経験します。センターでの商品管理や仕分け、在庫コントロール、伝票処理など、多岐にわたる業務を自ら体験しました。その中で「自分が将来メーカーから商品を仕入れて提案するとき、この裏側にはこういう工程があるんだな」という実感が積み上がっていくんです。
こうした経験を積むことで、2年目以降に実際の営業業務を担当した時、目の前の商談が流通のどこに位置するのかが理解できます。例えば、新商品を提案してスーパーに導入が決まったら、その後は物流センターを経由して店頭に並ぶわけですが、1年目でその流れを肌で感じているので、段取りがスムーズになります。研修で得た知識は、後々、営業としての幅を広げる大きな武器になりました。
2年目から本格的な営業へ~BtoBならではの面白さ
2年目の早い段階から、先輩にフォローしてもらいながら得意先を徐々に任されていきます。もちろん、いきなり全てを1人で担当するわけではありません。周囲の先輩や上司に質問できる環境が整っているので、分からないことはその場で聞いて解決できました。
BtoB営業の面白さは、個人のお客様相手とは違う交渉やコミュニケーションが求められる点です。小売店のバイヤーは商品の売れ行きやトレンド、コスト、売り場構成など、さまざまな要素を総合的に考えています。そこに「この新商品は季節商戦に合いますよ」などと提案し、納得してもらえた時は大きな達成感があります。
また、棚割りと呼ばれる春夏・秋冬年2回の店頭レイアウト変更や、季節ごとの販促企画など、普段買い物する中では意識しない裏側の世界を知ることもできる。「そうか、スーパーの棚は定期的に見直されているんだ」「新商品の並び方や陳列一つで売れ行きが変わるんだ」と気づくと、生活者としてお店を見る目も変わります。

「信頼」を積み上げる営業スタイル~レスポンスの速さと誠実さ
食品卸の営業は、基本的に得意先のスーパーや小売店で日々商品が売れています。極端な話、売上が「ゼロ」ということはまずありません。ですから、過度なノルマに追われるというよりも、日常の売り場を整え、定番商品を欠品なく供給することで、ある程度安定した数字が積み上がります。
その上でプラスアルファとして、新商品や季節の目玉商品を提案していくことが、営業の腕の見せ所です。こうした提案が上手くいけば、売場がより活性化し、得意先から「このアイテムを入れたらよく売れたね」と喜びの声をもらえる。そこに大きなやりがいが生まれます。
とはいえ、こうした関係を築くには「信頼」が欠かせません。そのために私が気を付けているのは、レスポンスを早くすることです。メールや電話対応が迅速で的確だと、「しっかりやってくれる営業さんだな」という印象を持ってもらえます。小さなことですが、誠実な対応が少しずつ信用を積み上げ、人間関係を円滑にするのです。
人によってアプローチを変える~コミュニケーション力が磨かれる日々
やはり、バイヤーさんや店長さん、あるいはメーカー担当者さんなど、人によって好みのコミュニケーションスタイルは異なります。ある方はカジュアルなやりとりを好む一方、別の方はビジネスライクなトーンで淡々と進める方がスムーズな場合もあります。
最初は当然わからないので、試行錯誤です。電話一つとっても、あるトーンで話せばすぐに話がまとまる相手もいれば、時間をかけて丁寧に説明しないと納得しない相手もいる。何度か接点を重ねることで、「この方はこういう提案に心が動くんだな」と、パターンが見えてきます。
これは経験が積み重なった結果であり、最初から完璧にできるわけではありません。でも、その分、場数を踏むごとに自分のコミュニケーション力が磨かれている実感があります。こういったスキルは、将来どんな職種についても必ず活きてくると思いますね。
女性営業としての環境~先輩ロールモデルと風通しの良さ
入社時から営業として活躍する女性が社内に何人もいましたし、特に「女性だから」という理由でハードルを感じることはありませんでした。先輩女性社員がすでに活躍されているので、ロールモデルもお手本もすぐ近くにあります。困った時は相談しやすい雰囲気が整っていますね。
上司や同僚、先輩後輩の関係も非常にフラットで、わからないことがあってもすぐ聞ける風通しの良さがあります。最近は私自身、新しい部署(低温食品担当)に異動し、初めて扱う商品分野に戸惑うことも多いですが、同期で同じ分野を担当してきた仲間がいるので、わからないことはすぐ電話して「これどうしたらいい?」と確認できます。また、新しい部署の先輩たちも親身になってアドバイスしてくれるので、まるで新入社員の頃に戻ったかのような安心感があります。


自分が提案した商品が店頭に並ぶ喜び~やりがいは日々の中に
やはり、自分で提案した商品が実際の店頭に並び、それが売れた時の喜びは格別です。メーカーからサンプルを取り寄せて食べてみたり、パンフレットを研究したり、「この商品ならこの季節、この売場で売れるはず」と考えて提案します。
お店側が受け入れてくれて、店頭に並ぶ瞬間は「私が関わったからこそ、この商品がここにあるんだ」と実感できます。そこにプラスして「すごく売れたよ」「お客様から好評だったよ」なんてフィードバックをもらえれば、「私の見る目は間違っていなかった」と自信に繋がります。
もちろん、うまくいかない時もあります。でも、その失敗も経験値。次の提案や別の商品選びに活きてくるんです。こうしたトライ&エラーを積み重ねながら、少しずつ営業としての引き出しが増えていくのを実感しています。
常に情報をキャッチするアンテナ~次の季節商戦に向けて
現在、低温食品部門でクリスマスやおせちなどの季節商材に力を入れています。このジャンルは毎年新しいトレンドが生まれ、他社や他業界の動き、テレビ・雑誌などのメディア情報にアンテナを張ることが大切です。
普段の生活や何気ない情報番組、競合企業のチラシ、お店の売り場配置など、どんなところにもヒントが転がっています。例えば、テレビで「今年のクリスマスは○○スイーツがブームです」と聞けば、次の年にはそれを活かした提案ができるかもしれない。日常から目利きを磨き、情報を逃さず拾い上げていくことで、得意先に対する新しい提案が生まれます。
「いつも同じ」を嫌わずに基本を守りつつ、「今年はこれを試そう」「こんな商品を加えたら面白いかも」と創意工夫する。その積み重ねが営業の幅を広げ、キャリアを充実させていくのだと思います。来年はより多くの「当たり」を出せるよう、自分の中のアイデアストックを増やしていきたいです。
「今しかできないこと」に挑戦する楽しさ
私が就活中に考えたことは、「今しかできないことに挑戦しよう」というシンプルな思いでした。営業というフィールドは、一見するとハードルが高そうに見えますが、コゲツ産業にはチャレンジを後押ししてくれる環境がしっかり整っています。
初めて経験することばかりでも、入社後に教育・研修があるので安心して飛び込めます。わからないことは周囲に聞けばいい。一緒に成長する同期もいるし、先輩も後輩もみんなでサポートし合える社風があります。そうした環境で、新卒という「ブランド」を活かし、今しか得られない経験値を積んでほしいと思います。
営業は、人と人とのつながりでできている仕事です。目の前の相手が求めるものは何か、どうすれば喜んでもらえるか、その答えを探り続ける中で、自然とコミュニケーションスキルや提案力が身につきます。きっと、それは将来どんな道に進んでも、皆さんを支える大きな財産になるはずです。